呼吸が浅いのは姿勢のせい?横隔膜と猫背・反り腰の関係と呼吸法
この記事の要点
- 猫背・反り腰は横隔膜の動きを妨げ、呼吸が浅くなりやすい姿勢です
- 浅い呼吸は疲れやすさや肩こり、自律神経の乱れとの関係が指摘されています
- 仰向けで3秒吸って5秒吐く呼吸を10回、1日3分続けるのがおすすめです
呼吸が浅くなるのは姿勢のせい?
結論からお伝えすると、呼吸が浅くなる背景には姿勢が大きく関わっています。特に猫背と反り腰は、呼吸の主役である横隔膜の動きを妨げやすい姿勢です。
横隔膜は、肋骨の下側にドーム状に張られた筋肉です。息を吸うときにはこのドームが下がって肺が広がるスペースをつくり、吐くときには元の位置に戻ります。横隔膜が上下にしっかり動くと、肋骨は横に広がり、お腹もふくらみます。これが本来の呼吸の形です。ところが姿勢が崩れると、横隔膜が動くためのスペースそのものが失われてしまいます。
猫背で横隔膜が動きにくくなる仕組み
猫背になると胸郭(肋骨でできたかご)が前につぶれ、肋骨が下がって内側に閉じた状態になります。すると横隔膜は下がる余地を失い、1回の呼吸で入る空気の量が減ります。足りない分を補うために、首や肩の筋肉で胸を持ち上げるように吸う癖がつき、吸うたびに肩が上がる「肩で吸う呼吸」になりやすくなります。
反り腰で横隔膜が動きにくくなる仕組み
反り腰では肋骨の下側が前に開いた状態になりやすく、横隔膜と、体の底で支える骨盤底筋の向きがずれてしまいます。お腹の筋肉が伸ばされたまま力が入りにくいため、息を最後まで吐ききることができず、肋骨が開いたままになります。吐ききれないと、次に吸える量も減るため、結果として浅く速い呼吸が続きやすくなります。
浅い呼吸は疲れやすさ・肩こり・自律神経と関係する?
浅い呼吸と、疲れやすさ・肩こり・自律神経の乱れとの間には関係が指摘されています。断定はできませんが、仕組みとして次のようなつながりが考えられています。
- 疲れやすさ:1回の呼吸で入る空気が少ないと、回数を増やして補うことになります。呼吸は1日に約2万回行われるため、わずかな非効率でも体の負担として積み重なります
- 肩こり:横隔膜の代わりに首や肩の筋肉(斜角筋・胸鎖乳突筋・僧帽筋の上部)が呼吸のたびに働くと、これらの筋肉は休む時間がなくなり、こりとして感じやすくなります
- 自律神経の乱れ:浅く速い呼吸は体を緊張させる交感神経を優位にしやすく、ゆっくり長く吐く呼吸はリラックスに関わる副交感神経を優位にしやすいといわれています。常に浅い呼吸が続くと、休みたいときに切り替わりにくくなる可能性があります
ただし、呼吸の浅さには姿勢以外の原因が関わることもあります。安静時にも息苦しさが続く、胸の痛みや動悸、発熱、めまいを伴う場合は、セルフケアを始める前に医療機関を受診してください。
横隔膜を動かす呼吸エクササイズのやり方は?
横隔膜の動きを取り戻すエクササイズは、仰向けで手を肋骨に当て、3秒吸って5秒吐くことを10回繰り返すだけです。1日3分、寝る前に行うのがおすすめです。
基本:仰向けで3秒吸って5秒吐く(10回)
- 仰向けになり、両膝を立てます。腰と床のすき間が大きい方は、膝の下にクッションを入れてください
- 両手を肋骨の下側(肋骨のいちばん下の縁あたり)に軽く当てます
- 鼻から3秒かけて息を吸い、肋骨が手を押し返すように横へ広がるのを感じます
- 口から細く長く、5秒かけて息を吐きます。肋骨が下がり、内側に閉じていくのを手で感じます
- 吐ききったところで1秒だけ止め、ふたたび3秒かけて吸います。これを10回繰り返します
注意点は3つです。吸うときに肩が上がらないこと、お腹だけでなく肋骨の横や背中側にも空気が入る感覚を探すこと、途中でめまいや息苦しさを感じたら中止することです。最初は3秒吸って5秒吐くのが長く感じるかもしれませんが、無理のない秒数から始めて少しずつ伸ばしてください。
慣れてきたら:座った姿勢でも行う
仰向けで肋骨の動きがつかめてきたら、椅子に深く座った姿勢でも同じ呼吸を行います。骨盤を立ててあごを軽く引き、4秒吸って6秒吐くように少しずつ長くしていくと、日中の姿勢の中でも横隔膜を使いやすくなります。
日中の「ながら」版:1時間に1回、長く吐く呼吸を3回
デスクワークの合間に、1時間に1回は手を止めて、長く吐く呼吸を3回だけ行います。たったこれだけでも、肩で吸う癖に気づくきっかけになり、首や肩の緊張をゆるめるサポートになります。
姿勢と呼吸はお互いに影響し合う
姿勢が呼吸を変えるだけでなく、呼吸もまた姿勢を変えます。この相互関係を知っておくと、どちらから取り組んでも無駄にならないことが分かります。
横隔膜は呼吸だけでなく、お腹の内側の圧(腹圧)を高めて体幹を安定させる役割も担っています。横隔膜がしっかり動くと、お腹の深い筋肉や骨盤底筋と協調して体幹が内側から支えられ、背中を丸めたり腰を反らせたりしなくても姿勢を保ちやすくなります。反対に、肩で吸う呼吸が続くと首や肩の緊張が抜けず、胸郭が固まって猫背が定着しやすくなります。
つまり、姿勢を整えると呼吸が深くなりやすく、呼吸を整えると姿勢を保ちやすくなるという、良い循環をつくることができます。日常では、スマホを目の高さで見る、椅子に深く座って骨盤を立てる、1時間に1回立ち上がって胸を開く、といった姿勢の工夫と呼吸エクササイズをセットで続けてみてください。
si’seでのアプローチ
si’seの店名には、頭蓋・脊柱・胸郭・骨盤・上肢・下肢の6つの骨格をトータルにケアするという意味が込められており、呼吸に関わる胸郭も大切な要素のひとつと考えています。筋肉調整で胸や首まわりの緊張をゆるめ、姿勢矯正や骨盤矯正で猫背・反り腰を整えることで、横隔膜が動きやすい体を目指します。ご自宅での呼吸エクササイズや姿勢のポイントもお伝えし、3か月から半年ほどかけて姿勢と呼吸が安定することを一緒に目指していきます。
※施術は医療行為ではありません。効果の感じ方には個人差があり、効果を保証するものではありません。強い痛み・しびれ・発熱などの症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。
FAQ
この記事に関するよくある質問
呼吸が浅いかどうか、自分で確認できますか?
呼吸エクササイズはどのくらい続ければ変化を感じますか?
息苦しさがあるときも呼吸エクササイズをしていいですか?
RELATED TREATMENTS
MORE COLUMNS
コラム一覧へ